有川浩『植物図鑑』 感想 前半
有川浩さんの植物図鑑を読んでいます。
OLが植物オタクの居候に恋する物語です。
章ごとにお話の区切りがあるので読みやすいです。
私は文庫版を読んでいますが、作中に出てくる植物の写真が載っているので
それを見ながら楽しんでいます。
この物語を読んでいると、ちょいちょい料理のポイントとか図鑑の落とし穴とか
ちょっと生活のお役に立ちそうなネタにであいます。
なんだかストーリーを楽しむだけでなく、お得感があります(笑)
以下ネタバレあり
1章
OLさやかと行き倒れイツキの出会いのお話。
1章の時点(真夏日?)でさやかはヘクソカズラを見ながらイツキとの思い出を回想しているます。
なので、とりあえず冬の終わりから一緒に暮らすことになったけど、夏までにお別れが確定しているようです。
いやあ、見ず知らずの男性と同居なんてさやかさんすごい…。
※
2章
面白かったのが怠惰なハトのお話です。飛べよ!って(笑)
確かにハトは警戒心がなさすぎますね。
フキノトウやらツクシの「狩り」に夢中になっちゃうさやかさん。
はしゃいでいます。可愛らしいふるまいをしています。
散歩に出かける時点で着ていく服をあれこれしてますしね、
しかも彼の前では特別おしゃれしたわけじゃ…とか、乙女か。
ツクシのはかまとりの手間には共感しました。
3章
さやかさんの恋心は募る一方のようでした。
名前しか確かなことは知らないのに、好きになれるものなのですね。
イケメン補正もないとはいえませんが、彼女は人の内面にも視点がちゃんとあるようです。
イツキさんの「化粧しない方がいいよ」といわれたのをなんだかんだ真に受けちゃって、ドラックストアへ無色透明パウダーを買いに行ってしまうさやかさんがかわいい。しかも、色を決めるのにすごーく時間がかかっていて、結局の決定打がやはりイツキさんの言葉だったのです。
そして、イツキ好みの自分であるために買った、そんな道具を使っているところを本人にみられてしまいます。
もだもだしているさやかさんを想像したら萌えました。
さやかさん振り回されっぱなしです。
4章
私はさやかさんの動揺するシーンが好きなようです。
彼女がイツキに内緒で買った図鑑がばれちゃうところがとてもよかったです。
もうやることなすこと考えていることがイツキさんには透けすけで。
イツキさんもわかっていてそれに付き合ってあげてやさしいです。
まあ、後から「知ってたよ~」なんて言われたら恥ずかしくて死にそうです。
自分ならキレるだろうな。関係悪化間違いなしです。
5章
章が進むたびに、イツキさんの輪郭がちょっとづつはっきりしてきます。
さやかさんが、今の関係を壊さないようにとても慎重にきいていいこと、だめなことを線引きしています。
イツキさんもさやかさんの質問に正面から答えていない時もあるので、いつ彼女が彼の決定的な地雷を踏んでしまうのかひやひやします。
イツキさんにはもうでれっでれなさやかさんで、いじられキャラが板についていますが、そんな彼女の他人への対応の仕方がこのあたりの章でかかれています。
彼女のお弁当のおかずを素手でさらっていく営業に対してはつめたいです。
自分の好きな人がつくったものを関係ない人に触らせたくないですよね。
イツキさんも営業マンも、さやかさんをいじっているのはいっしょだけれど、さやかさんの好感度によってこうも対応がかわるとは。いい。
あとは、「顔の防御力を高める」という言葉に笑ってしまいました。
ここから話がどう転ぶのかたのしみです。
別れが来るのは分かっているけど、それはどんなふうにとか
再開はあるのかなとか。