有川浩『植物図鑑』 感想 後半
後半物語がごろっと動き出しました。
そういえば、カバー絵がカスヤナガトさんでした。
さやかさんの少女っぽさがよくあらわれてます。
おこった顔は想像したくないなー。
私はさやかさんがこのまま片思いを続けていくんだと思っていました。
好きあってたとしても、最後まで気持ちを確かめ合わないような感じで。
両片思い、的な。
一枚のハンカチで二人の関係は変わりました。
イツキからもやじるしとんでたなんて気づきませんでしたよ。
さやかがちょっとかわいいことしても、せいぜい写真におさめるくらいで、好きです感なかったじゃないか。平然としてるし。
イツキの言動はさやかか杏奈ちゃんの目を通してしか書かれていないので、当然といえばそうなんだけど。
さやかが気持ちを言っちゃったときの「引き金」うんぬんのせりふは、ああ小説だなあと思いました。字面だからがまんできるけど、もしも、実写化されてこのせりふを発されたら恥ずかしくて直視できません。
さやかは好きな人のためにわかりやすくがんばっちゃうし、
イツキの趣味にもついていけるし、吸収力もあるしで、かわいい。
そうかそうか、両想いだったのか。
好きという気持ちを隠さなくっていいって、いいなぁと思います。
イツキがいなくなってからのさやかの生活は、読んでいて胸がいたくなりました。
未練たらたらといえばそれまでですが、イツキがもうさやかの方を向いていないから出ていったのではないのが分かっているから、イツキとの日々を忘れないように生活してしまうのも無理もない。
植物は去年と同じように育って、同じように狩りができるのに、さやかのとなりには彼がいなくて。
早く戻ってきてあげてと思いました。
写真集が送られてきて、さやかが会いに行くのかと思ったら、イツキが帰ってきましたね。本を送ったのは、探しに来て、の合図ではありませんでした。
「自分で開けなさいよ」のいつさやのやりとりほんとすき。
よかったね。
カーテンコールでは、やられっぱなしの彼女がちょっとした仕返しをします。
からかうけど、自然に(意識せずに?)ほめるところがさやかのいいところだと思います。
明るくて素直でほめ上手。うん。
コンビニに行ってわめいちゃったさやかはあまり好きませんが…、
でも気まずくなったおかげで会社の飲み会に参加することになって、イツキに助けてもらったりうっかり告白しちゃったのだから、まあいいか。
ハッピーエンドでよかったです。