柳沼行『群緑の時雨』4巻 感想

 

 

 最終巻が春に刊行され買おう買おうと頭の隅で思いつつ時が過ぎ、

いつの間にか書店で並ばなくなり購入意欲がそがれていたのですが

今週ふらっと立ち寄った書店に置いてあったのでようやく買いました。

 

 時代物は普段読まないので、柳沼さんのことを知らなかったら

手に取ることはなかっただろうなと改めて思いました。

雑誌もマイナーだし… フラッパーもaliveも近所の書店に置いてない。;つД`)

埋もれてしまうのは惜しいです。

なんて宣伝したらいいものか

 

 表紙を1~4巻まで並べてみるて、伊都さんが5年間で

とてもりりしく成長しているなあと。本編では相変わらずおてんばでしたが。

あ、背表紙へ移った霖太郎と府介もおなじく。カゲ殿は老けませんね。

 

 柳沼さんは本当にまっすぐな人物を描きます。

それぞれが誇りをもち、全うに生きます。

それは霖太郎や府介、伊都さんだけでなく、周りの人たちも。

葛藤しながらもまっすぐに生きようとする姿に魅力を感じます。

 

 4巻が最終巻だったわけですが、前作『ふたつのスピカ』と比べ

過不足のないすっきりしたまとめ方でした。グッドな伏線回収。

以前ナタリーのインタビューでスピカファンに仕掛けを用意したと

おっしゃっていましたが、柳沼先生ほんとうありがとう!

スピカを読んでいないとわけわからん話というわけでもないところがいいです。

 

以下ネタバレ

 

府介さんは意味深なアップとか、式桜の話に変わった反応するところがあったので

何か抱えているだろうし式桜側なのではと思っていたけれど、まさか当主だったとは。

式桜の人間といえど、カゲさんが言うように府介さんは

どんな人間かわかっているからもう斬り合う必要はなく、

「ここで剣をおさめ府介さんを逃がす」というのも

ありがちといえばありがちな話です。

しかし霖太郎も府介さんも自分の生き方を全うしましたね。

強いです。

 

結末は苦いものだけれど、

伊都さんは嫁ぎ先が海のきれいなところでよかったね

後の唯ヶ浜だと思ってる。

 

主にスピカと群緑のつながりについて

 

 「因果応報」

にクスッときました。

 

霖太郎がふっちーの先祖

伊都さんがアスミの先祖

 

であることが分かったわけですが、

伊都さんがやたらと人の頭をたたいていたので

後の子孫であるアスミがふっちーによくポカッとされたり

電柱にぶつかったりしてしまうということでしょうか。面白い。

 

勝手にこじつけるなら

府介さんの見た目はマリカっぽい

カゲ殿はアスミ父に似ている(ひげのせい!)

シュウは家老鈴木成秋と名前が似ている あと有能

 

ケイちゃんは…源吉さん…(苦しい) まあ心配性だし…

3代に渡って中谷家の世話をしてきたそうだけど、源吉さんにも家族はいたのかな

お暇をもらった後、一家で江戸へ引越せばいいよ←

ケイちゃん側からしたら、先祖代々江戸で和菓子屋っていってたかな

 

ああごめんなさい。根拠のない想像が膨らんでしまう。もうやめます。

でも楽しみを残してもらえて嬉しいです。

 

「緑色に光る星」はこの時代から追い求められていたのか(゜゜)

群緑の時雨でも花火がテーマになっていたなんて気が付きませんでした。

一話冒頭から花火出てたのに関連性をみいだせなかったなあ

伊都さんの髪飾りにも伏線があったわけですが

二人に渡した紐の色はやはり緑ということでいいのでしょうか。

 

府+中谷 霖(太郎)+(之)介

うまくできていますね

作者いったいいつから練ってたんだろう

 

前作では終盤の間延び間の割に駆け足のような?

知りたかったことが明かされないまま連載終了してしまったことが

本当に悔やまれたのですが、今回は前述したように

すーっきりまとめ上がっています。

時代物でとっつきにくかったけれど、読んでよかったーと思いました。

 

何か言うとしたらあとがきページがほしかった。

もともとふたつのスピカが終わったらもう漫画を描かないつもりだったようですが

群緑の時雨が終わった今、柳沼さんはまた旅に出ているのでしょうか。

やさしいけど重量もある先生の絵をまた見たいし読みたいところです。

 

これからふたつのスピカを読み返します。

原作にそってもう一度アニメ化しないものかと

去年『宇宙兄弟』をみながら思ってたなぁ。

ドラマ?何それ知らない。

 

次回作期待しててもいいかな